「パソコンが動かなくなったら誰に聞けばいい?」「社員が退職したけど、アカウントの引き継ぎはどうすれば?」——社内にIT担当者がいない中小企業では、こうした場面で対応が後手に回りがちです。
中小企業では、IT専任の担当者を置かず、社長や総務の方が「兼任」で対応しているケースが少なくありません。だからこそ、何から手をつけるべきかを整理しておくことが大切です。
本記事では、IT担当者不在の企業が「最低限、今すぐやるべきこと」を優先度順に解説します。
申し遅れました。この記事を書いているのは、情報処理安全確保支援士としてMintSparkで中小企業のIT・セキュリティ支援を行っている堤です。
これまで、IT担当者のいない会社の現場をいくつも見てきました。そこで感じるのは、多くの経営者が「危ないのはわかっているが、何から手をつければいいかわからない」というところで足を止めてしまう、ということです。難しく考える必要はありません。順番さえ間違えなければ、専門知識がなくても最初の一歩は踏み出せます。
なぜIT担当者がいないと危険なのか

IT担当者が不在であること自体は珍しくありません。しかし、「ITのことを誰も見ていない」状態は、以下のようなリスクを抱えています。
- セキュリティ事故:ウイルス感染、ランサムウェア被害、情報漏えいなど。復旧費用や取引先への対応、信用の低下まで含めると、影響は決して小さくありません
- 業務停止:サーバーやネットワークの障害で業務が止まると、売上損失に直結。復旧に数日かかることも
- 法令違反:個人情報保護法の改正により、すべての事業者に安全管理措置が義務付け。「知らなかった」では済まされない
- 退職リスク:ITに詳しい社員が辞めると、パスワードや設定情報が失われる
最優先:セキュリティの基本を整える

IT担当者がいない企業がまず取り組むべきは、セキュリティの最低限の対策です。難しいことは不要です。以下の5項目を確認してください。
- Windows Update・macOSアップデートを自動にするOSのセキュリティパッチは、既知の脆弱性を修正するためのもの。全社PCで自動更新をONに
- ウイルス対策ソフトを有効にするWindows 11標準のMicrosoft Defenderでも基本的な保護になります。「無効化されていないか」「定義ファイルが最新か」を確認しましょう
- パスワードを使い回さない1つのサービスが漏えいすると全サービスが危険に。パスワードマネージャー(1Password、Bitwardenなど)の導入を検討
- 二段階認証(2FA)を有効にするGoogle、Microsoft 365、各種クラウドサービスで設定可能。万一パスワードが漏れても、不正ログインを防ぐ有効な手立てになる
- バックアップを取る重要ファイルをクラウドストレージに保存、または外部ストレージに定期バックアップ。ランサムウェア対策の基本
これらの対策は、IPA(情報処理推進機構)が中小企業向けに示す基本対策とも重なります。IPAは2026年3月公開の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版で、従来の「情報セキュリティ5か条」に「バックアップを取ろう」を加えた「6か条」を基本として挙げています。
次にやるべき:IT資産と契約の棚卸し
セキュリティの基本を整えたら、次は「自社のIT環境がどうなっているか」を把握する作業です。
- ハードウェア:PC・プリンター・ルーター・NASなど、機器の一覧と購入時期
- ソフトウェア・クラウドサービス:利用中のサービス、契約プラン、月額費用、更新日
- アカウント情報:各サービスの管理者アカウント、パスワード保管場所
- ネットワーク構成:Wi-Fiルーターの設定、VPNの有無、プロバイダ情報
- ドメイン・サーバー:ドメインの管理会社、レンタルサーバーの契約情報
これらを一覧表(Excelやスプレッドシート)にまとめておくだけで、トラブル発生時の対応速度が格段に上がります。外部にIT管理を委託する際にも、この棚卸し資料が必須になります。
中長期:IT管理の体制をどうするか考える
セキュリティ対策とIT資産の棚卸しが終わったら、中長期的なIT管理体制を考えましょう。
MintSparkのIT/DX支援サービスでは、中小企業の「IT担当不在」を補う伴走型の支援を提供しています。
今日からできる3つのアクション

IT担当者がいない企業が「今日から」できることをまとめます。
- 全社PCのWindows Update状況を確認する(所要時間:30分)各PCの「設定」→「Windows Update」を開き、最新の状態になっているか確認。更新が溜まっている場合は、業務終了後に適用
- 管理者アカウントの一覧を作る(所要時間:1時間)Google Workspace、Microsoft 365、会計ソフト、勤怠管理ツールなど、利用中サービスの管理者アカウント情報をスプレッドシートに
- IT管理の相談先を1つ確保する(所要時間:10分)トラブルが起きてから相談先を探すのでは遅い。事前に「困ったときに相談できる窓口」を確保しておく
まとめ:IT担当がいなくても、できることはある
IT担当者がいないこと自体は問題ではありません。問題なのは「ITのことを誰も見ていない」状態です。
支援の現場でいつもお伝えしているのは、全部を自前でやろうとしなくていい、ということです。誰かが定期的にITの状態を見て、困ったときに相談できる相手が一人いるだけで、多くのトラブルは起きる前に防げます。「誰も見ていない」を「誰かが見ている」に変える——まずはそこから始めてみてください。
- セキュリティの基本5項目を確認する
- IT資産・契約・アカウント情報を棚卸しする
- IT管理の相談先を1つ確保する
この3ステップだけで、ITリスクは大幅に軽減できます。MintSparkでは30分の無料オンライン相談を実施しています。
参考・出典: IPA(情報処理推進機構)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版(2026年3月公開, 公式ページ)
