取引先からセキュリティ対策を求められたら|費用負担と見積もりの整理(SCS評価制度)

発注元と受注側が対等に握手し、費用の書類と天秤が並ぶイラスト

「対策をお願いします」と言われても、見積もりを見れば簡単に決められる金額ではない。取引は続けたいけれど、どこまで自社で負担するのか。このあたりで悩んでいませんか。

はじめまして、株式会社MintSparkの堤卓也です。

最初に整理したいのは、取引先が求めている対策と、そのために追加で必要になる作業です。いまの契約や設定で対応できる部分が分かれば、新たに費用をかける範囲も絞りやすくなります。

この記事では、要請の内容を確かめ、見積もりを分け、取引先と話す材料をそろえる順番を説明します。

この記事で押さえたいこと

  • 要請された対策と、現在の契約・設定で対応できる部分を照らし合わせる
  • 初期費用・継続費用・社内の作業時間に分けて考える
  • 必要な費用の根拠をそろえ、取引先との協議につなげる
目次

セキュリティ対策の費用は誰が負担する?

セキュリティ対策に要する費用は、取引先との価格交渉で扱う対象になります。負担の範囲や割合は、必要な対策と費用の根拠を示し、双方で協議して決めていきます。

経済産業省・公正取引委員会の想定事例の解説は、会社全体のセキュリティ対策にかかる費用について、労務費や一般管理費などの間接経費として整理し、価格交渉する考え方を示しています。発注側は、こうした価格交渉の申し出に応じる必要があると説明されています。

交渉では、自社の利益にもつながる対策であることや、相手との取引割合も考慮します。まずは「何にいくらかかるか」を説明できる状態にしておくと、負担の話を始めやすくなります。

取引先が求めていることを、見積もりの前に確かめる

要請書やメールを手元に置いて、対象の業務・拠点、求められる対策、期限を確認します。「チェックシートへの回答」「対策の実施」「SCS評価制度の★の取得」のうち、何をいつまでに求められているのかも確かめたいところです。

たとえば「バックアップを取る」と言われた場合でも、対象のデータや復旧までの時間によって、必要な仕組みは変わります。見積もりを依頼する前に、要請の意図と自社の業務を照らし合わせましょう。

すでに保守や運用を委託しているなら、現在の契約に含まれる作業も確認します。同じ対策に別の契約が必要なのか、設定の見直しで進められるのかが分かると、追加で頼む仕事を決めやすくなります。

見積もりの総額だけで判断する前に

費用の種類内訳の例確かめたいこと
初期費用現状調査、機器導入、設定変更対象の台数・拠点・作業範囲
継続費用ライセンス、監視、保守毎月含まれる対応、追加料金の条件
社内の作業時間台帳整備、教育、定期点検担当者、頻度、外部へ任せる範囲

社内で取り組める作業もあれば、設定の確認や変更を委託した方が進めやすい作業もあります。無料のひな形を使う場合も、担当者が内容を確かめ、運用する時間は見込んでおきたいところです。

月額のサービスでは、「監視」が含まれていても、異常を知らせた後の調査や復旧をどこまで頼めるかは、契約で確かめます。通知を受ける担当者と、その後に動く相手まで決めておくと、導入後の役割もはっきりします。

複数の見積もりを比べるなら、対象と作業範囲をそろえます。初年度の費用に加え、翌年以降に続く料金や社内の作業時間も並べると、運用を続けられるか判断しやすくなりますよ。

取引先と話すために、要請・対策・費用を並べる

要請された対策、必要な費用、実施時期を並べると、発注元と相談する材料を整理できます。
要請された対策、必要な費用、実施時期を並べると、発注元と相談する材料を整理できます。(図:MintSpark作成/画像を押すと拡大)

取引先には「一式でいくら」よりも、「何を求められ、そのために何を追加するのか」を説明できると、費用の話を始めやすくなります。次の内容を一枚にまとめる方法がお勧めです。

  • 取引先からの要請内容と期限
  • 現在実施している対策と、追加する作業
  • 追加費用の内訳と、その算定根拠
  • 実施する時期と、社内・委託先の役割

国の想定事例では、発注側が対策の内容と費用負担の考え方を説明し、受注側が具体的な負担分を整理して価格交渉を申し入れています。双方が合意した内容は、書面に残す流れです。実際の支援事例とは区別して、話し合いを進める参考として読んでください。

チェックシートの回答や、対策状況の確認から進めたい場合は、セキュリティチェックシートの書き方と、回答の根拠を集める手順にまとめています。

SCS評価制度と取適法について、押さえておくこと

SCS評価制度は、取引先を含むセキュリティ対策の状況を共通の基準で評価する仕組みです。2026年10月15日に確認したIPAのFAQでは、★3・★4は2027年3月頃の運用開始予定と案内されています。今から準備する作業と、正式な申請・評価の手続きを分けて進めます。

2026年1月1日には、従来の下請法を改正した「中小受託取引適正化法(取適法)」が施行されました。公正取引委員会は、改正点として、協議を適切に行わない一方的な代金決定の禁止などを説明しています。適用する取引の内容や企業の規模などの条件は、公正取引委員会の案内で確認できます。

個別の取引で法律上の扱いを確かめたいときは、公正取引委員会の取適法相談窓口や取引かけこみ寺が相談先になります。当社では、技術面から要請内容を読み解き、必要な対策や作業範囲、費用の整理をお手伝いします。

参考・出典

情報確認日:2026年10月15日。見積もりの比較表と準備の手順は、公式資料を踏まえた当社の運用提案です。

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この記事に関連するよくある質問

取引先からセキュリティ対策を求められました。その費用は当社が負担するのですか?

対策にかかる費用は、発注元との価格交渉の対象になります。経済産業省・公正取引委員会が2025年12月26日に示した解説では、受注側から価格交渉の申出があった場合、発注側企業はその申出に応じる必要があるとされています(出典:「サプライチェーン全体のサイバーセキュリティ向上のための取引先とのパートナーシップ構築促進に向けた想定事例及び解説」)。一方的に費用を押し付ける取引は問題となり得ます。

発注元に価格交渉を求めること自体に、問題はありませんか?

問題ありません。2026年1月、下請法は「中小受託取引適正化法(取適法)」になり、協議に応じない一方的な代金決定が禁止行為に加わりました。価格協議を求めることには、法律上の後ろ盾があります。

SCS評価制度は、いま取得しないと取引できなくなりますか?

現時点で申請の受付は始まっていません。★3・★4は2026年度末頃の運用開始を目指す段階です。「今すぐ取らないと取引できない」といった勧誘には、経済産業省が注意喚起を出しています。

その他のご質問はこちら(よくある質問の一覧)

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