この記事のポイント(結論を先に)
- 権限は店ではなく「ビジネスID」に付きます。ビジネスIDは個人のLINEアカウントをログイン手段にできるため、前任者の個人アカウントに権限が残ったままになることがあります。
- 管理者権限を持つIDが社内に1つも残っていないと、社内の誰も権限を追加できません。自分の権限は自分で変更できず、運用担当者は管理者を追加できないためです。
- そうなったときに公式で案内されているのは「問い合わせてください」までです。権限を取り戻せる条件や日数を書いた公式情報は確認できませんでした。だからこそ、失う前に管理者を複数にしておくことが唯一の確実な手です。
担当していたスタッフが辞めた。店のLINE公式アカウントを開こうとしたら、誰もログインできない。配信も、返信も、クーポンの停止すらできない。
これは操作のミスではなく、権限の付き方から生まれる問題です。仕組みが分かれば、いま確認すべきことと、今後そうならないための設定がはっきりします。LINEヤフーの公式マニュアルとヘルプに書かれていることだけを根拠に、順に見ていきます。
「ログインできない」の正体は、権限が“個人”に付いていること
LINE公式アカウントの管理画面には、4つの入り方があります。
LINE公式アカウントへのログイン方法は以下のとおりです。1. Web版管理画面にアクセスします。2. 表示されるログイン画面から、設定済みのログイン方法を選択します。
LINEヤフー「管理画面にログインする」(2026年7月31日更新)(出典)
ここでいうログイン方法は、LINEアカウント・メールアドレス(ビジネスアカウント)・Yahoo! JAPAN ID・パスキーの4つです。そしてこれらをまとめているのが「ビジネスID」という仕組みです。
ビジネスIDとは、LINEヤフーが提供するビジネス向け、または開発者向けの各種管理画面にログインができる共通認証システムです。ビジネスIDには、LINEアカウントでのログイン、メールアドレスのみで利用できるビジネスアカウントでのログイン、Yahoo! JAPAN IDでのログインがご利用いただけます
LINEヤフー「お問い合わせ」(出典)
注目したいのは、権限が「店」ではなく「ビジネスID」に紐づくことです。そのビジネスIDが個人のLINEアカウントでログインする設定になっていると、権限は事実上その人個人に付きます。
LINEアプリにログインしているアカウントが、LINE公式アカウントと紐付けしているLINEアカウントと一致しているか、ご確認ください。ビジネスアカウント(メールアドレスとパスワードでのログイン)や紐付けしていないLINEアカウントでログインしている場合、このボタンからはログインできません。
LINEヤフー「管理画面にログインする」(2026年7月31日更新)(出典)
前任者のスマートフォンでしか開けなかったのは、このためです。引き継ぎの相手が「自分のLINEで入って」も、そのLINEアカウントに権限が付いていなければ入れません。
管理者がいなくなると、社内の誰も権限を足せない
ここが、この問題がやっかいな理由です。
自分の権限を変更することはできません。変更したい場合は管理者権限を持つほかのユーザーへ依頼してください。管理者権限を持つユーザーがほかにいない場合は、新たに追加してください。
LINEヤフー「権限を変更する」(2023年12月14日)(出典)
自分の権限は自分で上げられません。そして英語版のヘルプには「Operators cannot add administrators.」(運用担当者は管理者を追加できません)とあります。
つまり管理者権限を持つIDが社内に1つも残っていない状態になると、残った人が何人いても、誰も権限を追加できません。手詰まりの構造です。
| 状況 | 社内でできること |
|---|---|
| 管理者が1人でも残っている | その人がメンバーを追加でき、権限も変更できる |
| 運用担当者だけが残っている | 管理者を追加できない。自分の権限も上げられない |
| 誰も権限を持っていない | 管理画面にアカウントが表示されない |
学習サービス「LINEヤフーマーケティングキャンパス」(旧「LINEキャンパス」)では、権限の種類は4つとされています。内訳は「管理者」「運用担当者」「運用担当者(配信権限なし)」「運用担当者(分析の閲覧権限なし)」です。ただし、管理画面のマニュアル本体にはこの一覧が見当たりませんでした。管理者だけの人数上限についても、公式の記載は確認できていません。確認できるのは「権限の種類を問わず1アカウントに対して100人まで」という上限だけです。
いま5分で確認できること
まだログインできる人が社内にいるなら、先にここを見てください。
- 管理画面にログインし、「設定」から権限の一覧を開く
- 管理者が誰か、そして何人いるかを確認する
- 管理者が1人だけ、あるいは退職予定者だけになっていないかを見る
- 見覚えのないアカウントが残っていないかを見る(前の代理店など)
管理者が1人しかいない状態は、その人が辞めた時点でこの記事の冒頭の状況になります。この確認だけは、今日のうちに済ませる価値があります。
管理者は複数にしておく(認証用URLは24時間で失効します)
メンバーの追加手順は公式マニュアルに書かれています。
「メンバーの追加」をクリックし、「URLを発行」を選択後、発行された認証用URLを追加したいユーザーへメールなどで共有します。
LINEヤフー「権限設定」(2026年4月24日更新)(出典)
この認証用URLには、知らないと詰まる制約があります。
権限の種類を問わず1アカウントに対して100人までメンバーの登録が可能です/ユーザーが管理できるアカウントは100個までです/認証用URLは発行から24時間失効するのでご注意ください/一回の発行につき一人のユーザーのみ有効です。認証URLは使い回しはできません
LINEヤフー「権限設定」(2026年4月24日更新)(出典)
24時間で失効し、1回につき1人しか使えません。引き継ぎの日にまとめて発行しても、相手が翌日に開いたら無効です。複数人を追加するなら、人数分を個別に発行し、その場で登録まで完了させるのが確実です。
実務としては、管理者を最低2人にしておくことをおすすめします。担当者と、経営者または別部署の1人。担当者が急に辞めても、退職手続きの前に権限を移せます。退職時に何を止めるかの全体像は退職者のアカウント、本当に消えていますかにまとめています。
それでも入れなくなったとき、公式に書かれているのはここまで
では、すでに誰も権限を持っていない場合はどうなるか。公式ヘルプの記載はこうです。
Official Account Managerでは、ログイン時に利用したLINE Business IDに権限がついているLINE公式アカウントのみが表示されます。(中略)ほかに管理者の権限がついたLINE Business IDがない場合は、こちらよりお問い合わせください。
LINEヤフー「アカウントが表示されない場合」(2023年12月14日)(出典)
案内されているのは、問い合わせるところまでです。
権限を取り戻せる条件、必要な書類、かかる日数を書いた公式情報は、当社が調べた範囲では確認できませんでした。「問い合わせれば戻る」とも「戻らない」とも書けません。確実に言えるのは、そうなる前に管理者を複数にしておけば、この問い合わせ自体が不要になる、ということだけです。
「アカウントごと譲る」はできません
店舗の売却や事業承継のときに聞かれる点です。利用規約は、よく似た3つの行為を明確に分けています。
| 行為 | 規約の扱い | 条文 |
|---|---|---|
| 第三者に譲渡・貸与する、第三者と共用する | 禁止行為 | 第18条(8) |
| 第三者に権限を付与して運用を委託する | できる | 第6条3項 |
| 契約上の地位を第三者に承継させる | LINEヤフーの承諾が必要 | 第22条1項 |
お客様は、第三者に本アカウントの操作に必要な権限を付与し、当該第三者に本アカウントの運用を委託することができます。
LINEヤフー「LINE公式アカウント利用規約」第6条3項(2023年10月1日改定)(出典)
代理店に運用を任せること自体は認められています。ただし渡すのは「権限」であって「アカウント」ではありません。この違いは、Googleビジネスプロフィールで代理店にオーナーを渡してしまう問題と同じ構造です(代理店に握られたときの取り戻し方)。
乗っ取り対策も、同じ設定で進みます
2024年、LINEビジネスIDへの不正ログインが公表されています。
2024年7月19日に当社内において、LINEビジネスIDへのログイン失敗数の増加を検知しました。調査の結果、同月10日から同月18日の間に複数回パスワードリスト攻撃を受け、不正ログインおよび不正ログインに成功した攻撃者による不正操作が判明しました。不正ログインは、メールアドレスのみで利用できる「ビジネスアカウント」でのログインにおいて確認されています。
LINEヤフー「LINE公式アカウントにおけるアカウント乗っ取りに関するお知らせとお願い」(2024年8月26日)(出典)
パスワードリスト攻撃は、他社から流出したIDとパスワードの組み合わせを片端から試す手口です。使い回していると通ってしまいます(社員がパスワードを使い回している会社へ)。
なお、ビジネスアカウントの2段階認証は必須化が進んでいます。
2026年4月30日:2段階認証をオフにできなくなります/2026年6月30日:2段階認証がオフのお客様に対し、メール認証を自動的に有効化いたします
LINEヤフー「ビジネスアカウントにおける2段階認証の必須化について」(2026年3月17日)(出典)
LINEヤフーは、この必須化の対象をメールアドレスでログインするビジネスアカウントとし、LINEアカウントなど他のログイン方法は対象外としています。
退職・委託解除のときに確認する4つ
- 管理者が2人以上いるか。1人なら、辞める前に追加する
- 退職者のビジネスIDを権限一覧から削除したか。PCを返却させただけでは権限は消えません
- 代理店に渡しているのが「権限」であって、アカウントそのものではないか
- 店の他の外部アカウントも同じ状態になっていないか。Googleビジネスプロフィール、予約サイト、SNS、ドメイン
最後の1つは見落とされがちです。担当者が自分の個人アカウントで作った外部サービスは、その人が辞めた瞬間に社外の個人が持ち主になります。Googleビジネスプロフィールで同じことが起きたときの対処は登録した覚えのないGoogleビジネスプロフィールで扱いました。
参考・出典
参考・出典:
・LINEヤフー「管理画面にログインする」(2026年7月31日更新):https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/tutorial-step1/
・LINEヤフー「権限設定」(2026年4月24日更新):https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/account-settings_permission/
・LINEヤフー「権限を変更する」(2023年12月14日):https://help.linebiz.com/lineadshelp/s/article/L000001104
・LINEヤフー「アカウントが表示されない場合」(2023年12月14日):https://help.linebiz.com/lineadshelp/s/article/L000001954
・LINEヤフー「お問い合わせ」:https://www.lycbiz.com/jp/contact/support/
・LINEヤフー「ビジネスアカウントにおける2段階認証の必須化について」(2026年3月17日):https://www.lycbiz.com/jp/news/20260317/
・LINEヤフー「LINE公式アカウントにおけるアカウント乗っ取りに関するお知らせとお願い」(2024年8月26日):https://www.lycorp.co.jp/ja/privacy-security/announcement/009179/
・LINEヤフー「LINE公式アカウント利用規約」(2023年10月1日改定):https://terms2.line.me/official_account_terms_jp?lang=ja&country=JP
・LINEキャンパス「権限の種類」:https://lymcampus.jp/line-official-account/courses/multiple/lessons/oa-4-3-1
・(2026年8月15日閲覧)
この記事に関連するよくある質問
担当者が辞めて、LINE公式アカウントに誰もログインできません。どうすればよいですか?
まず、社内に管理者権限を持つ人が残っていないかを確認してください。1人でも残っていれば、その人がメンバーを追加できます。誰も権限を持っていない場合、LINEヤフーの公式ヘルプは「ほかに管理者の権限がついたLINE Business IDがない場合は、こちらよりお問い合わせください」と案内しています。ただし、権限を取り戻せる条件・必要な書類・かかる日数を書いた公式情報は、当社が調べた範囲では確認できませんでした。
なぜ前任者のスマートフォンでしかログインできないのですか?
権限が「店」ではなく「ビジネスID」に紐づくためです。ビジネスIDは個人のLINEアカウントをログイン手段にできるため、前任者個人のアカウントに権限が残った状態になります。LINEヤフーは「ビジネスアカウント(メールアドレスとパスワードでのログイン)や紐付けしていないLINEアカウントでログインしている場合、このボタンからはログインできません」としています。
LINE公式アカウントの管理者は何人にしておくべきですか?
最低2人をおすすめします。自分の権限は自分で変更できず、運用担当者は管理者を追加できないため、管理者が1人だけだとその人が辞めた時点で社内の誰も権限を足せなくなります。なお、権限の種類を問わず1アカウントに100人までメンバーを登録できます(管理者だけの上限は、公式の記載を確認できていません)。
メンバー追加の認証用URLで、気をつける点はありますか?
あります。LINEヤフーは「認証用URLは発行から24時間失効するのでご注意ください」「一回の発行につき一人のユーザーのみ有効です。認証URLは使い回しはできません」としています。引き継ぎ当日にまとめて発行しても、相手が翌日に開いたら無効です。人数分を個別に発行し、その場で登録まで終わらせてください。
店舗を譲渡するとき、LINE公式アカウントごと引き継げますか?
利用規約は似た3つの行為を分けています。第三者への譲渡・貸与・共用は禁止行為(第18条(8))、権限を付与して運用を委託することは可能(第6条3項)、契約上の地位の承継はLINEヤフーの承諾が必要(第22条1項)です。渡せるのは「権限」であって「アカウント」ではありません。

