「返信文はAIに書かせればいい」。そう言われるようになって、しばらく経ちました。実際、文章を作るだけなら誰でもできます。それなのに、店舗の口コミ欄には未返信が並んだままです。書けるようになったのに、終わらない。
今日はそんなテーマでお話しします。この記事では、その理由を店舗の現場を主語にして整理します。
返信文は、もう誰でも作れる
生成AIに口コミの本文を渡せば、返信案は数秒で出てきます。丁寧で、破綻がなく、そのまま投稿しても差し支えない水準のものが出ます。文章力の問題は、実務上ほぼ解決したと言っていい状況です。
ここで、口コミ返信の自動化という言葉が指すものを分けて考える必要があります。文章を作る工程の自動化と、返信という作業全体が回る状態は別物です。前者はすでに実現しています。後者はまだです。なお、当社が提供する拡張機能でも、AIが作るのは下書きまでで、送信前に必ず人が確認します。文章を作る工程が速くなることと、人の判断が要らなくなることは、同じではありません。
この区別を飛ばすと、「AIがあるのに、なぜ終わらないのか」という問いに答えられなくなります。
それでも現場では終わらない
文章が数秒で出るのに、作業は終わらない。現場で起きていることは、だいたい3つに整理できます。
未返信が溜まる
1件返すまでの手順を分解すると、こうなります。管理画面を開く。未返信を探す。口コミを読む。AIに渡す。出てきた文章を読む。手直しする。貼り付ける。投稿する。
文章を作る工程は、このうちの1つにすぎません。他の工程は残ったままです。
しかも、この往復は口コミの件数だけ繰り返されます。1件あたり2分でも、20件あれば40分です。閉店後にその時間を確保できる日は、多くありません。
そこで「あとでまとめて」となります。ところが、まとめようとすると件数が増え、増えるほど着手のハードルが上がります。5件なら15分で終わったものが、30件になった時点で「今日は無理だ」と判断されます。溜まるほど手がつかなくなるという向きの力が働くため、いったん止まると自力では戻りにくくなります。
トーンが揺れる
複数のスタッフで手分けすると、今度は文章が揃わなくなります。
同じAIを使っていても、渡す指示が人によって違えば出てくる文章も変わります。丁寧すぎる返信と、そっけない返信が交互に並ぶ。読み手には、同じ店の返信には見えません。
揺れる原因は、書き手の力量の差ではありません。「どこまで踏み込んで詫びるか」「お客様をどう呼ぶか」といった判断の基準が、どこにも書かれていないことです。基準がなければ、書き手それぞれの「これくらいでよい」が基準になります。人が替われば、その基準も替わります。
書き手を1人に絞れば揃いますが、その人が忙しい週は全部止まります。どちらを選んでも、どこかで破綻します。
店舗が増えると、把握が追いつかない
店舗が2つ、3つと増えると、確認する場所も増えます。
どの店のどの口コミが未返信なのか。それを把握するだけで時間が要ります。書く前の段階で消耗するため、書く工程がどれだけ速くなっても、全体の時間はあまり縮みません。
「1件書ける」と「出し続けられる」の間にあるもの
ここまでを一文にすると、こうなります。
1件書けることと、安定して出し続けられることの間には、距離がある。
この距離の正体は、文章力ではありません。次の3つです。
- 見つける手間 … どれが未返信で、どこから手をつけるか
- 判断の一貫性 … 誰が書いても、同じ店の返信に見えるか
- 止まっても戻れること … 途中で中断して、どこまで進んだか分かるか
3つとも、うまい文章が書けるかどうかとは無関係です。作業を回すための段取りの話です。
やっかいなのは、この距離が事前には見えないことです。試しに1件書いてみる段階では、AIは十分すぎるほど働きます。問題が出るのは、運用に乗せて数週間が経ってからです。導入を決めた時点の手応えと、実際に続くかどうかが一致しません。
生成AIの登場で解決したのは、この距離のうちごく一部でした。残りは、そのまま現場に残っています。
距離を埋めるのは、文章力ではなく設計
では何が要るのか。当社は2つだと考えています。
確認を、外さずに組み込む
1つ目は、人の確認を工程から外さないことです。
口コミへの返信は公開されます。誰が書いたことになるのかを曖昧にしたまま出すべきではありません。確認を省けば速くはなりますが、公開された文章の責任だけが宙に浮きます。
速くするなら、確認を飛ばすのではなく、確認しやすい形で下書きが出てくるようにするのが筋です。読んで、必要なら直して、送る。この3手で終わるなら、確認は負担になりません。
確認が負担になるかどうかの分かれ目は、下書きの出来にあります。毎回大きく書き直す必要があるなら、確認ではなく執筆です。ほとんど直さずに送れる状態が続いてはじめて、確認は工程として軽くなります。
過去の返信を、次に使えるようにする
2つ目は、一貫性の担保です。
書き手の記憶や感覚に頼っているかぎり、トーンは揺れます。そのお店が過去に確定した返信を、次の文案づくりの参考にできる形にしておけば、書き手が変わっても近い文章になります。
これは「お手本(事例)を参照する」という考え方です。汎用の文章を毎回ゼロから作るのではなく、自店の言葉を土台にする。前者は誰にでも通用する代わりに、誰の店のものでもない文章になります。
この2つを設計として組み込めているかどうかが、「書ける」と「回る」を分けます。
coremeoでの形
当社が提供しているChrome拡張機能「coremeo(コレミオ)」は、この2点を前提に作りました。
Googleビジネスプロフィールの口コミ管理画面で動作し、Googleマップなどに表示される店舗の口コミへの返信を支援します。別の管理画面に移る必要はありません。いつも開いている画面に、ボタンが増える形です(ご利用にはGoogleアカウントでのログインが必要です)。
AIが作るのは下書きまでで、送信前に必ず人が確認します。 確認を経ずに投稿される経路はありません。
過去の返信については、AIが作成した下書きが、投稿したかどうかにかかわらず保存され、次の文案づくりの参考になります。これは全プランで動きます。導入した直後で参考にできるものがない場合は、これまでにご自身で書いた返信を「過去の返信の取込」から取り込めます。無料・全プランで使え、AI返信の回数も消費しません。アカウントごとの累計で最大20件までです。Googleの口コミ一覧は既定で1ページあたり10件の表示なので、画面下部の「1ページあたりの行数」を増やしてから取り込むと選びやすくなります。
なお、お手本はアカウント単位で蓄積されます。複数の店舗を運営している場合は、共有の範囲を設定で変えられます(MAXプラン)。
未返信が積み上がっている場合は、一括返信モードが使えます(PROプラン以上)。対象は、そのとき画面に表示されているページの口コミです。画面下部の「1ページあたりの行数」を増やすと、続けて返信できる件数が増えます。表示中のページから順に進める形なので、途中で止めても、どこまで終わったかが画面で分かります。
FREEプランは0円で、AI返信を累計10回まで試せます。月ごとのリセットはなく、有料プランで使った回数も累計に含まれます。
まとめ
「AIで書けるのに、終わらない」。この状態が起きるのは、解決したのが文章を作る工程だけだからです。
残っているのは、見つける手間、判断の一貫性、そして止まっても戻れること。どれも段取りの問題で、文章力では埋まりません。
埋め方は2つです。人の確認を工程から外さないことと、自店の過去の返信を次に使えるようにしておくこと。この2つがあれば、書ける状態は、回る状態に変わります。
よくある質問
生成AIがあれば、口コミ返信の負担はなくなりますか。
文章を作る負担は大きく減ります。ただし現場では、文章を書く工程に加えて、どの口コミが未返信かを把握し、開いて、確認して、投稿するまでの往復にも時間がかかります。負担がなくなるかどうかは、そこを含めて考える必要があります。
返信のトーンが人によってばらつきます。どうすればよいですか。
書き手ごとの判断に任せていると揃いません。過去に自店で確定した返信を参照できる形にしておくと、書き手が変わっても近い文章になります。あわせて、謝罪の範囲や連絡先を案内する基準を先に決めておくと、判断のぶれが減ります。
複数店舗を運営していますが、返信の品質が店舗ごとに揃いません。
確認する場所が店舗の数だけ増えるため、把握そのものに時間がかかります。まずは返信の順番と基準を共通で決め、そのうえで、書く工程をどこまで機械に任せられるかを検討するのが現実的です。
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