この記事のポイント(結論を先に)
- 22H2向けの Windows 10 ESU は、LTSC / LTSB の端末には適用されません。Microsoft公式は「NOT covered via the Windows 10 ESU program」と明記しています(Microsoft Learn、2026年4月21日更新)。ただし 2016 LTSB のように、製品専用の ESU が別に用意されているものもあります。
- POSレジ・複合機・検査装置・生産設備の操作パネルが該当しがちです。用途が固定された機器の中身がWindows 10のLTSCというのは珍しくありません。
- ライセンスを買う前に、自社に該当機があるかを確かめる順番になります。確認の手順は本文にまとめました。
結論:22H2向けの ESU は、LTSC / LTSB の端末には適用されない
POSレジ、複合機、検査装置、生産設備の操作パネル。用途が固定された機器の中身が Windows 10 ということは珍しくありません。こうした機器には LTSC(長期サービスチャネル。新機能を足さず修正だけを配る形態)や旧称の LTSB が使われている場合があります。
Windows 10 のサポートは 2025年10月14日に終了しました。延命手段として有償の ESU(拡張セキュリティ更新プログラム)がありますが、LTSC / LTSB は対象に入っていません。Microsoft の公式手順書に次の一文があります。
「Windows 10 Long Term Servicing releases (LTSB/LTSC) have their own lifecycles and are NOT covered via the Windows 10 ESU program.」(訳:Windows 10 の長期サービスリリース(LTSB/LTSC)は独自のライフサイクルを持ち、Windows 10 ESU プログラムの対象ではありません。Microsoft Learn、2026年4月21日更新)
ライセンスを台数分そろえても当たりません。買う前に「自社に該当機があるか」を確かめる順番になります。
ESU で何が届き、何が届かないのか
ESU は有償の年間契約で、届く更新の範囲は決まっています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 含まれる | 「緊急」「重要」と分類されたセキュリティ更新(Microsoft セキュリティ レスポンス センターの基準) |
| 含まれない | 新機能/顧客要望による非セキュリティ更新/設計変更の要望/一般的な技術サポート(ESU 自体の認証・導入・不具合を除く) |
条件は端末が Windows 10 バージョン 22H2 であることです。準備用の更新(KB5066791、次に KB5072653)も要ります。最長3年、購入は年単位で累積制のため、2年目から入るなら1年目分も支払います。価格は法人向けがボリュームライセンスで1台あたり初年度 61 USD、「毎年倍になり最長3年」と明記されています。倍増ルールから算出すると2年目 122 USD、3年目 244 USD、3年計 427 USD(61 USD が Microsoft の記載、他は計算値)です。円価格は記載がないため書きません。
個人向けの ESU も会社の PC には使えません。Microsoft「End of support for Windows 10」は、対象から「組織が管理するデバイス、企業向けライセンスプログラムに登録されたデバイス」を除くと記載しています。
対象外である理由は「独自のライフサイクル」
LTSC / LTSB は製品ごとに別の期限を持ちます。世代も別建てで、Microsoft Learn の対応表では LTSC 2021 が 21H2 相当、2019 が 1809 相当、2016 が 1607 相当です。ESU の前提である 22H2 ではありません。
| 製品 | 提供開始 | メインストリーム終了 | 延長サポート終了 |
|---|---|---|---|
| Windows 10 2016 LTSB(Enterprise) | 2016/8/2 | 2021/10/13 | 2026/10/14 |
| Windows 10 Enterprise LTSC 2019 | 2018/11/13 | 2024/1/10 | 2029/1/10 |
| Windows 10 Enterprise LTSC 2021 | 2021/11/16 | 2027/1/13 | ページに記載なし |
出典は Microsoft ライフサイクル製品別ページ(太平洋時間基準)です。2016 LTSB の終了日を ESU 手順書は 2026年10月13日 と記載しています。IoT Enterprise 版や 2015 LTSB は別ページで期限も違います。端末に出るエディション名で検索してください。
自社の端末が LTSC / LTSB かを確かめる手順
- 画面で見る:「設定」→「システム」→「バージョン情報」の「Windows の仕様」でエディション欄を読みます。「Windows 10 Enterprise LTSC 2021」のように LTSC / LTSB の語があれば該当です。
- コマンドで見る:コマンドプロンプトで
cscript //nologo C:WindowsSystem32slmgr.vbs /dliを実行すると、「名前」欄にライセンス上のエディションが出ます。/dliを/dlvに変えれば、ESU プログラム名と License Status(Licensed かどうか)も確認できます。Microsoft の手順書が示す確認方法です。 - ProductName で判断しない:レジストリ
HKLMSOFTWAREMicrosoftWindows NTCurrentVersionの ProductName は当てになりません。実際に Windows 11 の端末で確認したところ、”Windows 10 Home” と返る例がありました(2026年8月時点)。判断は EditionID か上の2つで行ってください。 - 触れない機器はメーカーに聞く:装置内の Windows は保守契約先の管理下にあることが多いです。「エディションは何か」「期限はいつか」を書面で確認してください。
該当したときに取り得る選択肢
- 期限を確認します。世代がまだ期間内なら月次の更新は届きます。慌てて ESU を買う話ではありません。
- 製品専用の ESU があるか調べます。Windows 10 2016 LTSB には Enterprise / IoT Enterprise LTSB 2016 向けの専用 ESU があります。22H2 用とは別物でアクティベーションIDも別番号です。価格の記載はないため、販売代理店に確認してください。2016 LTSB の終了は2026年10月13日で、残り時間は多くありません。マイクロソフトは「ESU extends the use of Windows 10 Enterprise LTSB 2016 and Windows 10 IoT Enterprise LTSB 2016 devices past the end of support date on October 13, 2026」と記載しています(出典:Microsoft Learn「Enable Extended Security Updates (ESU) for Windows 10 LTSB 2016」2026年7月1日更新、learn.microsoft.com)。
- ESUの有効化には前提となる更新の適用が要ります。2026年5月のサービススタック更新(KB5088064)と、2026年5月のセキュリティ更新(KB5087537)以降が当たっている必要があります。期限直前に着手すると、この前提で足止めされます(出典同上)。
- キーの入手経路はエディションで分かれます。Enterprise LTSB 2016 はボリュームライセンス経由で、Microsoft 365 管理センターからMAK(複数ライセンス認証キー)を取得します。一方、IoT Enterprise LTSB 2016 の MAK キーは OEM パートナーへの問い合わせが必要です。同じ「LTSB 2016」でも窓口が違います(出典同上)。
- 新しい世代へ移すか、機器ごと入れ替えます。Windows 10 Enterprise LTSC 2021、Windows 11 Enterprise LTSC 2024 という後継はあります。ただし装置側のドライバと動作保証が要るため、メーカー確認が先です。Windows と機器本体、どちらの期限が先かも並べて見ておきましょう。
- 動かせないなら被害の範囲を狭めます。業務セグメントから分離、外部通信を必要な宛先だけに限定、管理者権限とUSBの制限。リスクは下がりますが更新の代わりにはならず、脆弱性は残ります。
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参考・出典
- Microsoft Learn: Enable Windows 10 Extended Security Updates (ESU) https://learn.microsoft.com/en-us/windows/whats-new/enable-extended-security-updates
- Microsoft Learn: Extended Security Updates (ESU) program for Windows 10 https://learn.microsoft.com/en-us/windows/whats-new/extended-security-updates
- Microsoft Learn: Enable ESU for Windows 10 LTSB 2016 https://learn.microsoft.com/en-us/windows/whats-new/ltsc/enable-extended-security-updates-windows-10-ltsb-2016
- Microsoft Learn: Windows Enterprise LTSC overview https://learn.microsoft.com/en-us/windows/whats-new/ltsc/overview
- Microsoft: End of support for Windows 10 https://www.microsoft.com/en-us/windows/end-of-support
- Microsoft Lifecycle: Windows 10 2016 LTSB https://learn.microsoft.com/en-us/lifecycle/products/windows-10-2016-ltsb
- Microsoft Lifecycle: Windows 10 Enterprise LTSC 2019 https://learn.microsoft.com/en-us/lifecycle/products/windows-10-enterprise-ltsc-2019
- Microsoft Lifecycle: Windows 10 Enterprise LTSC 2021 https://learn.microsoft.com/en-us/lifecycle/products/windows-10-enterprise-ltsc-2021
この記事に関連するよくある質問
Windows 10 の ESU を購入すれば、LTSC の端末も延命できますか?
22H2向けのESUは、LTSC / LTSB の端末には適用されません。Microsoftは「NOT covered via the Windows 10 ESU program」と明記しています。ただし2016 LTSBのように、製品専用のESUが別に用意されているものもありますので、エディション名を確認したうえで販売代理店にご相談ください。
どんな機器がWindows 10 の LTSC / LTSB に該当しやすいですか?
POSレジ、複合機、検査装置、生産設備の操作パネルなど、用途が固定された機器です。中身がWindows 10のLTSCというのは珍しくありません。「設定」→「システム」→「バージョン情報」のエディション欄で確認できます。

