「Windows 10はもう使えないと聞いた。でも、うちの機械にはLTSCと書いてある」。POSレジや検査装置など、簡単に入れ替えられない端末を抱えていると、何を基準に判断すればいいのか迷うと思います。
ここで確かめたいのは、Windowsの正式な製品名と、その端末を誰が保守しているかです。同じWindows 10でも、終了日と延長更新の契約は別。この記事では、情報処理安全確保支援士の堤が、LTSC・LTSBの期限と、業務を止めずに対応を決めるための確認事項を整理します。
この記事で伝えたいこと
- 22H2向けESUと、LTSC・LTSB専用のESUは別の案内です。2016 LTSBに加え、Enterprise LTSC 2021向けESUもMicrosoftが案内しています。
- LTSC 2019と2021、IoT版ではサポート期限が違います。製品名を省略せず確認することが出発点です。
- 専用機のOS更新は、機器メーカーの動作保証とセットで判断します。ライセンス代だけで決めると、肝心の業務が動かなくなることがあります。
Windows 10 LTSC・LTSBのサポート期限一覧
| 製品 | サポート終了日 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| Windows 10 Enterprise LTSB 2016 | 2026年10月13日 | 専用ESUの契約・前提更新と、機器の保守契約 |
| Windows 10 IoT Enterprise LTSB 2016 | 2026年10月13日 | ESUキーの窓口はOEMパートナー |
| Windows 10 Enterprise LTSC 2019 | 2029年1月9日 | Windowsと機器本体、それぞれの保守期限 |
| Windows 10 Enterprise LTSC 2021 | 2027年1月12日 | 専用ESUと、後継OS・機器への移行計画 |
| Windows 10 IoT Enterprise LTSC 2021 | 2032年1月13日 | Enterprise LTSC 2021との製品名の違い |
2026年10月12日確認。日付はMicrosoft「Windows 10 release information」とESU有効化手順の表記に合わせています。製品別Lifecycleページには一部の日付に差があるため、契約・移行の日程は対象エディションとメーカーの案内も照合してください。IoT版の期限を、通常のEnterprise版へ当てはめないことが大切です。
LTSC・LTSBでもESUは使える? 22H2向けとの違い
ESUは、サポート終了後も一定のセキュリティ更新を受け取るための有償プログラムです。Windows 10 22H2向けと、LTSC・LTSBの製品専用の案内を分けて、端末の正式な製品名に合う契約を選びます。
一方、Microsoftは2016 LTSBとWindows 10 Enterprise LTSC 2021向けの専用手順を公開しています。「LTSCだから延長更新は一切ない」とも言い切れません。まず製品名を確かめ、その製品向けの契約条件を確認する順番になります。
この案内はIoT Enterprise LTSC 2021には適用されません。IoT版は上の表のとおり、通常のEnterprise版より長いライフサイクルを持っています。
2016 LTSBは、前提更新とキーの入手先を確認する
公式手順では、2026年9月のサービススタック更新(KB5122874)とセキュリティ更新(KB5123099)、またはそれ以降の更新が前提として案内されています。古い手順のまま準備を進めると、ここでつまずく可能性があります。
Enterprise LTSB 2016はMicrosoft 365管理センターでMAKキーを確認する経路、IoT Enterprise LTSB 2016はOEMパートナーへ確認する経路が示されています。機器内蔵のWindowsなら、購入した機器の保守会社へ製品名と契約内容を伝えると話が進めやすくなります。
Enterprise LTSC 2021にも専用の案内がある
Microsoftは、2027年1月12日のサポート終了後に向けてEnterprise LTSC 2021用のESUを案内しています。前提となる更新は2027年1月分です。2026年10月時点では、契約窓口と移行の予定を整理しておき、更新の提供後に公式手順に沿って有効化を進める流れです。
ESUは、機器の故障対応や業務ソフトの動作保証まで引き継ぐものではありません。延長更新を使う場合も、その期間に何を移行するかを決めておきたいところです。
自社の端末がどの製品か、どう調べる?

- 通常のPCは「設定」→「システム」→「バージョン情報」で、エディションとバージョンを確認します。画面を残すなら、製品名を省略せず記録します。
- レジ・検査装置・生産設備は、機器メーカーや保守会社に確認します。OS名、サポート期限、ESUの提供可否、更新時の動作保証をセットで聞くと確認漏れを減らせます。
- 台帳には、製品名のほかに使っている業務・止められる時間・保守会社・次の対応期限を並べます。端末の台数だけでは、移行の順番を決めにくいためです。
ESUで延長するか、機器を入れ替えるか
判断が難しいのは「今すぐ止められない機械」です。たとえば、古い検査装置が現役で動いているなら、OSの更新だけでなく、検査ソフトと周辺機器が動くかも確認が要ります。新しいWindowsを入れる前に、メーカーの回答を取る方が確実です。
| 自社の状況 | 先に確認すること |
|---|---|
| すぐには交換できず、メーカー保守も続いている | 専用ESUの利用条件、保守対応、入れ替えまでの期間 |
| 機器もソフトも保守終了が近い | 機器・ソフトを含む更新費用、試運転、停止日程 |
| OS名や保守会社が分からない | 購入記録と契約、製品名、業務への影響の棚卸し |
当面使い続ける端末は、ネットワークの分離、通信先の制限、管理者権限・USB利用の見直しも検討します。こうした対策は被害を広げにくくするためのもので、セキュリティ更新の代わりにはなりません。
使い続けるか、入れ替えるか。社内だけで決めきれないときは
「メーカーから更新を勧められたけれど、この費用をかけるべきだろうか」「入れ替えたいが、仕事を止める日程が決まらない」。期限が分かった後も、判断に迷うことはありますよね。
初回30分では、その機器で行っている仕事と、止まったときの影響を伺います。メーカーから受けた説明や見積もりがあれば、気になっている点からお聞かせください。
更新に向けて先に確かめたい条件と、社内で決めたいことを分け、次に誰が何を確認するかを一緒に整理します。機器の一覧がそろっていなくても、気になる1台からご相談いただけます。
初回30分無料・オンライン。お申し込み後、2営業日以内にご連絡し、メールで日程を調整します。
結論:期限だけでなく、業務を続けるための条件をそろえる
LTSC・LTSBは、年版とエディションごとに期限・ESUの案内が異なります。正式な製品名を起点に、機器メーカーの保守条件と合わせて確認することが大切です。
社内で対応する人が決まっていない場合は、IT担当者がいない会社の進め方と情シス代行の費用・対応範囲も参考にしてください。
参考・出典
- Microsoft:Windows 10 release information
- Microsoft:LTSB 2016・Enterprise LTSC 2021のESU有効化手順
- Microsoft:Windows 10のESUプログラム
情報確認日:2026年10月12日。契約条件や必要な更新は変更されるため、導入時点の公式手順をご確認ください。
参考:learn.microsoft.com(2026年10月12日確認)
この記事に関連するよくある質問
Windows 10 の ESU を購入すれば、LTSC の端末も延命できますか?
22H2向けのESUは、LTSC / LTSB の端末には適用されません。Microsoftは「NOT covered via the Windows 10 ESU program」と明記しています。ただし2016 LTSBのように、製品専用のESUが別に用意されているものもありますので、エディション名を確認したうえで販売代理店にご相談ください。
どんな機器がWindows 10 の LTSC / LTSB に該当しやすいですか?
POSレジ、複合機、検査装置、生産設備の操作パネルなど、用途が固定された機器です。中身がWindows 10のLTSCというのは珍しくありません。「設定」→「システム」→「バージョン情報」のエディション欄で確認できます。

