「渋谷 個室 居酒屋」「近くの ランチ カフェ」——お腹を空かせて店を探す人の多くは、まずGoogleマップを開きます。飲食店にとって、近くのお客さんに見つけてもらう入口は、いまやGoogleビジネスプロフィール(旧マイビジネス)です。ただ飲食のMEO※には、料理写真や口コミの"見せ方"によって、景品表示法やステルスマーケティング規制に触れやすいという固有の注意点があります。
私はMintSparkで、自社の店舗(銀座のマシンピラティススタジオ)を運営しながらMEOに取り組み、情報処理安全確保支援士として法令・コンプライアンスの観点も見てきました。本記事では、飲食店がMEOで来店を増やす進め方を、表示ルールを守りながら実践する形でまとめました。
なぜ飲食店こそMEOなのか
地域名や「近くの」で探す人は、来店意欲がとても高いのが特徴です。Think with Googleの調査(2016年)では、スマートフォンで近くを検索した人の76%が1日以内に店舗を訪れたと報告されています(出典:Think with Google)。飲食では特に、「食べ放題 焼肉 ○○駅」「深夜営業 ラーメン」「個室 誕生日 レストラン」のように、シーンや目的まで含めた具体的な言葉で探されます。
そして飲食は、写真と口コミが来店の決め手になる業種です。マップに並んだ店の中から、料理写真がおいしそうで、口コミの評価が高い店が選ばれます。Google公式も、地域の検索順位を決める要素として「クチコミの数と評価」を挙げています(出典:Google)。「見つけてもらう」と「写真と口コミで選ばれる」の両方を整えることが大切です。
飲食店MEOの「3つの土台」

土台は「①正確な基本情報 ②口コミ ③投稿」の3つ。飲食では、それぞれに"お客さん目線"の工夫が効きます。
① 正確な基本情報——「行く前に知りたい」を漏れなく
- ランチとディナーで異なる営業時間、定休日、席数、個室の有無、支払い方法、テイクアウト/デリバリー対応まで正確に
- とくに営業時間・定休日のズレは「行ったら閉まっていた」という悪い体験と低評価に直結する
- 登録・最適化はGoogleビジネスプロフィールの登録・最適化方法で
② 口コミ——"おいしかった"の声を自然に集めて返信
- 満足そうなお客さんに、会計時などにさりげなくお願いする(口コミの増やし方)
- 良い口コミにも、厳しい口コミにも、丁寧に返信することで他のお客さんの信頼につながる
③ 投稿——新メニューや季節で"動いている店"に
- 新メニュー・季節限定・イベントを写真つきで。更新が続く店ほど、活気が伝わる
予約・注文・営業時間|飲食店だけにある設定項目
土台を整えたら、次は飲食店にしかない入力欄です。ここが空のままだと、地図で見つけてもらえても、来店や注文の一歩手前で止まります。
メニューと注文のリンクは、用途ごとに分けて登録する
メニューを表示するためのリンクは1つ登録できます。予約・席の確保・料理の注文・商品の注文については、カテゴリごとに最大10個までリンクを追加できます(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ローカル ビジネス リンク」)。
自社サイトの予約ページ、テイクアウトの注文ページ、デリバリーの注文ページは、それぞれ別の用途として登録します。「ウェブサイト」欄にトップページだけを入れて終わっている店は多く、ここは手を動かした分だけ差が出ます。
ランチとディナーで運用が違うなら「詳しい営業時間」
通常の営業時間とは別に、サービスごとの時間を設定できます。設定できるのは、ドライブスルー、デリバリー、テイクアウト、店舗受け取り、ハッピーアワーです。ただし、通常の営業時間を先に設定していないと表示されません(同ヘルプ「詳しい営業時間を設定する方法」)。
「ランチのみテイクアウト可」「デリバリーは夜だけ」といった実態は、ここで表現します。電話で同じことを聞かれる回数が減ります。
年末年始や臨時休業は、6日を境に扱いが変わる
特別営業時間は、一時的な営業時間の変更や、連続して最長6日間の休業に使います。連続7日以上の休業や、期間が未定の休業には、特別営業時間ではなく臨時休業マークを付けます(同ヘルプ「特別営業時間を設定する方法」)。
ここを外したまま長期休業に入ると、閉まっている日に来店した人が低い評価を残す、という形で口コミに跳ね返ります。
提供方法は属性でも伝える
テイクアウトや店内飲食といった提供方法は、属性としても登録できます(同ヘルプ「ビジネス属性を管理する」)。利用者が地図で条件を絞り込むときの手がかりになります。
食べログやぐるなびにも情報を出しているなら、店名・住所・電話番号の表記がGoogle側とずれていないかも見ておきます。別のサイトから来た人が、同じ店だと分からずに迷うことがあります。
【飲食で特に重要】景品表示法とステマ規制の注意点
飲食店の情報発信は、景品表示法(優良誤認・有利誤認の禁止)や、2023年10月に施行されたステルスマーケティング規制の対象になります。とくに料理写真と口コミの扱いが問われます。
やってよいこと
- 第三者が自然に投稿するGoogleの口コミを、正当な声かけで集める
- 正確な基本情報(営業時間・定休日・住所・メニュー・カテゴリ)を漏れなく登録する
- 実際に提供している料理・店内の写真を載せる(実物と大きく異ならないもの)
避けること(表示ルールに触れる恐れ)
- 報酬・割引と引き換えの口コミ依頼(Googleの規約違反であり、ステマ規制の対象にもなりえます)
- インフルエンサーに依頼した投稿で、広告であることを隠す(ステマ=景品表示法違反)
- 実物と大きく異なる"盛った"メニュー写真(量・具材が実際と違うなど。優良誤認のおそれ)
- 「地域No.1」「日本一」「口コミ評価No.1」など、客観的な根拠を示せない表現。消費者庁は「No.1表示に関する実態調査報告書」(2024年9月26日公表、消費者庁)を公表しており、掲げるのであれば調査の対象・時期・方法まで示せることが前提になります
線引きの要点は、「自然な口コミや、実物どおりの写真は問題ない一方、報酬で誘引したり、広告と分からせずに投稿させたり、実際と違う見せ方をするのは規制対象」という点です。2023年10月以降、広告なのに広告だと分からない表示(ステルスマーケティング)は景品表示法違反となります(出典:消費者庁/景品表示法)。
業種別のポイント
居酒屋・バー
居酒屋・バーのポイント
- 「地域名+居酒屋」「駅名+個室 飲み会」などで探されやすい
- コース・飲み放題・個室・宴会の可否と人数を明確に
- 料理だけでなく、店内の雰囲気が伝わる写真を用意する
カフェ
カフェのポイント
- 「地域名+カフェ」「近く 電源 Wi-Fi カフェ」などニーズが具体的
- テイクアウトの可否・Wi-Fi・電源・席数・滞在しやすさを明記
- 看板のスイーツやドリンクの写真を主役に
ラーメン・焼肉などの専門店
専門店のポイント
- 「地域名+ラーメン/焼肉」などジャンル名で探されるため、カテゴリと写真を合わせる
- 看板メニューの写真、行列・提供スピード・こだわりなど"選ぶ理由"を伝える
やってはいけないこと
口コミの自作自演や、報酬と引き換えの依頼は、Googleのガイドライン違反です(出典:Google)。加えて、広告であることを隠した投稿はステマ規制(景品表示法)にも触れます。短期的に効くように見えても、口コミの削除やプロフィール停止、行政の措置を招きます。地道に、正確に続けることが、結局はいちばんの近道です。
お店で手が回らないときは
日々の仕込みと営業のかたわらで、口コミ返信・投稿・順位の確認まで続けるのは簡単ではありません。私たちは、飲食店の運用に配慮したMEO支援ツールcoremeo(コレミオ)を提供しています。まずは自店の現状を知りたい方は、無料のMEO診断からどうぞ。MEO全体の進め方は、まとめ記事MEO対策の完全ガイドもあわせてご覧ください。
なお、口コミへの返信が売上や評価にどう動くのかは、口コミ返信の効果を査読論文で検証した記事にまとめています。また、順位チェックツールが各社そろって使えなくなった経緯は、MEO・SEOの順位ツールが“同時に”止まった理由で扱っています。

同じMEO運用でも、ご自身でやる場合(左)とcoremeoを使う場合(右)では、続けやすさが変わります。
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※ MEO:Map Engine Optimization の略。Googleマップなどの地図検索で店舗を見つけてもらいやすくする取り組みで、「ローカルSEO」とも呼ばれます。
参考・出典: Think with Google「消費者のモバイル検索行動」(2016年, PDF)/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ローカル ランキングを改善する方法」(公式)/Google「禁止または制限されているコンテンツ」(公式)/消費者庁「ステルスマーケティングは景品表示法違反」(公式)/消費者庁「景品表示法」(公式)/Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ローカル ビジネス リンク」(公式)/同「詳しい営業時間を設定する方法」(公式)/同「特別営業時間を設定する方法」(公式)/同「ビジネス属性を管理する」(公式)

